知覚過敏とは?冷たいものがしみる原因と歯科での治し方

スタッフブログ

アイスをひと口かじった瞬間、歯に「キーン」と走る痛み。
でもすぐ消えるので、「歯医者さんに行くほどでもないかな」と様子を見ている方はけっこう多いです。

こんにちは。
堺市東区・初芝駅近くのひきしょう歯科クリニックで、デンタルアドバイザーをしています。
当院は「気軽・安心・安全」を大切に、患者様が納得してから治療を進める歯科医院です。

その「しみる」、歯の知覚過敏かもしれません。
ただし、虫歯や歯のヒビが隠れていることもあります。

この記事では、知覚過敏の仕組みと原因、様子を見てよい目安、歯科で行う「削らない治療」の流れと費用までお話しします。

冷たいものがしみる!知覚過敏のしくみと対策
象牙質が露出しても、細い管の入り口がふさがっていれば、しみない場合もあります。痛みの有無だけでは歯の状態を判断できません。

知覚過敏とは?虫歯との違いと「しみる」が起こる仕組み

知覚過敏(象牙質知覚過敏症)とは?一過性の鋭い痛みが特徴

知覚過敏(ちかくかびん)は、正式には「象牙質知覚過敏症」といいます。
冷たい飲み物や甘いもの、歯ブラシの毛先、冷たい風などの刺激で、歯に一瞬だけ鋭い痛みが走る症状です。

虫歯や神経の炎症がないのに起こるのが特徴で、刺激がなくなれば痛みも引きます。
長くても1分以内には消えます。

めずらしい症状ではありません。
少し前のデータですが、2003年度にライオン歯科材が歯科医院に行ったアンケートでは、来院患者のおよそ1〜3割が知覚過敏を訴えると報告されています。

「私だけかも」と不安になる必要はありませんよ。

歯がしみる仕組み|エナメル質の内側「象牙質」が露出するから

歯は大きく3つの層でできています。

一番外側がエナメル質。
体の中で最も硬く、削っても痛みを感じない鎧のような層です。
その内側の象牙質には、神経に向かって無数の細い管が通っています。
一番奥が、神経と血管の集まる歯髄です。

象牙質がむき出しになると、細い管の中の液体が冷たさで動き、その動きが神経に伝わります。
これが「キーン」の正体です。

歯の根元はエナメル質ではなく、セメント質という薄い層で覆われているだけです。
だから歯ぐきが下がって根元が見えてくると、とたんにしみやすくなります。

ただ、象牙質が出ていても管の入り口が自然にふさがっていればしみません。
しみる人としみない人がいるのはこのためです。

知覚過敏と虫歯の見分け方|痛みの続き方と見た目でチェック

一番大きな不安は「虫歯だったらどうしよう」だと思います。
症状だけで確実に見分けることはできませんが、目安になるのは痛みの続き方と見た目です。

チェック項目知覚過敏の可能性が高い虫歯の可能性がある
痛みの続き方一瞬で消える(長くても1分以内)ズキズキと続く、じわじわ強くなる
きっかけ冷たいもの、甘いもの、歯ブラシ冷たいものに加え、温かいものでもしみる、何もしなくても痛い
見た目穴や黒ずみがない穴、黒ずみ、詰め物のすき間がある
噛んだとき痛くない響く、噛むと痛い

ただし、この表はあくまで目安です。
象牙質まで進んだ虫歯(C2)は知覚過敏とそっくりの症状を出しますし、見えないヒビでも同じようにしみます。

虫歯の進み方は虫歯のC1 C2 C3 C4の違いは何?治療方法を詳しく解説をあわせて読んでみてください。

「知覚過敏だから大丈夫」と自分で決めつけないこと。
これだけはお願いしたいです。

冷たいものがしみる原因|象牙質が露出する6つのきっかけ

原因は、毎日の生活習慣で少しずつ起こるものと、歯科の処置のあとに一時的に起こるものに分かれます。
心当たりがないか、確かめながら読んでみてください。

歯ぐきが下がる(歯周病・加齢・強すぎる歯磨き)

代表的なのが、歯ぐきが下がって歯の根元が露出することです。

歯周病が進むと、歯を支える骨が減り、歯ぐきも一緒に下がります。
2016年までの歯科疾患実態調査をもとにした厚生労働省の解説では、4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は年齢とともに高くなり、45歳以上では過半数を占めるとされています。

中高年で知覚過敏が増える背景には、この歯ぐきの変化があります。
歯周病そのものは歯周病が怖い!理由を知っていますか?心臓病や糖尿病との関係を詳しく解説で書いています。

もうひとつ多いのが、歯磨きの力が強すぎるケースです。
硬い歯ブラシでゴシゴシ磨き続けると、歯ぐきが下がるだけでなく、歯の根元がくさび形にえぐれてきます。

こんな方は要注意です。

  • 歯ブラシの毛先が1か月もたずに開いてしまう
  • 歯の根元に段差があり、爪を引っかけると引っかかる
  • 以前より歯が長く見えるようになった
  • 歯磨きのとき歯ぐきから血が出る

厄介なのは、しみるからと歯磨きを控えると、根元に汚れがたまって歯周病が進み、歯ぐきがもっと下がることです。
この悪循環は早めに断ち切りたいところです。

歯ぎしり・食いしばりと酸性の飲食物によるエナメル質の摩耗

エナメル質そのものが削れたり溶けたりして、象牙質が顔を出すケースもあります。

歯ぎしりや食いしばりは、噛む力が一部の歯に集中し、エナメル質をすり減らします。
朝起きたときに顎がだるい、歯の先端が平らにすり減っている、という方は疑ってみてください。

セルフチェックと対策は歯ぎしり・食いしばりの原因と対策 歯を守るための方法を歯医者が教えますにまとめています。
「疲れているときにしみやすい」と感じる方も多いですが、忙しい時期は食いしばりが増えることが一因です。

酸の影響も見逃せません。
エナメル質はpH5.5程度の酸で溶け始めます。
炭酸飲料やスポーツドリンク、レモン、お酢を長い時間かけてちびちび口にする習慣があると、歯は少しずつ溶けていきます。

虫歯治療・クリーニング・ホワイトニングのあとに一時的にしみるケース

歯科の処置のあとに一時的にしみることがあります。
多くは治療の失敗ではありませんので、まず落ち着いてください。
ただし、痛みが続く、強くなるという場合は再確認が必要です。

虫歯を削ったあとは神経が敏感になり、しばらくしみることがあります。
歯石取りのあとも同じで、歯石で覆われていた根元の象牙質が急に外気に触れるためです。
多くは日にちとともに落ち着きます。

ホワイトニングでも軽くしみることがあり、ホームホワイトニングなら1〜2日お休みすれば、たいてい症状は消えます。
気になるときは我慢せず、担当医に伝えてください。

知覚過敏は放置して大丈夫?自然に治るケースと受診すべきサイン

軽い知覚過敏が自然に落ち着く理由と様子見の目安

軽い知覚過敏なら、自然に落ち着くことはよくあります。
唾液や歯磨き粉に含まれる成分が、象牙質の細い管の入り口を少しずつふさいでくれるからです。

次の条件がそろっていれば、2〜4週間ほどセルフケアで様子を見ても大きな問題はないと考えています。

  • 痛みは一瞬で消え、あとを引かない
  • 歯に穴や黒ずみ、ヒビが見当たらない
  • ゴシゴシ磨きや酸性飲料など原因の心当たりがあり、それを改善できる

逆に、2〜4週間たっても変化がなければ、原因が別のところにある可能性が高いです。
そのときは一度診せてください。

すぐに歯科を受診したいサインと放置するリスク

次のような症状があるときは、様子を見ずに早めに受診してほしいです。

  • 何もしなくても痛い
  • 痛みが1分以上続く、ズキズキする
  • 温かいものでもしみる
  • 日に日に痛みが強くなっている
  • 複数の歯が同時にしみる
  • 歯ぐきが目に見えて下がった
  • 歯に穴、黒ずみ、ヒビがある

痛みが長く続いたり激しかったりする場合は、神経に炎症が起きている可能性があり、知覚過敏の範囲を超えているかもしれません。

放置すると、

しみるから磨けずに虫歯や歯周病が進む。
虫歯やヒビを見逃す。
根元のえぐれが深くなり、選べる治療が減る。

早めに原因を確認しておけば、悪化を防ぎ、歯を残すための選択肢を広く検討できます。

「しみるだけで歯医者に行っていいの?」とよく聞かれます。
答えは「もちろんです」。
しみる段階で来ていただいた方が、削らずに済む方法をたくさんご提案できます。

歯科での知覚過敏の治し方|削らない治療から順に進める流れ・回数・費用

初診で行うこと|問診・しみ方の確認・虫歯や歯周病の除外

「歯医者に行ったら、いきなり削られるのでは」と心配な方へ。
知覚過敏の初診で、いきなり削ることはありません。

当院の流れはこうです。

  1. 問診で、いつから、何でしみるか、どのくらい続くかをお聞きします
  2. 冷たい風や器具で軽く触れて、どの歯がしみるのかを特定します
  3. レントゲンや目視で、虫歯やヒビ、歯周病が隠れていないかを確認します
  4. 原因と治療の選択肢を説明し、ご納得いただいてから治療に入ります

検査で虫歯が見つかった場合は、その説明を先にします。
痛みが苦手な方には、表面麻酔や電動麻酔器で負担を減らす工夫もしています。

「なぜこの治療が必要なのか」が腑に落ちるまで何度でも説明しますので、遠慮なく聞いてください。

削らない治療が基本|薬剤塗布・コーティング・フッ素・ナイトガード

知覚過敏の治療は、削らない方法から順に試すのが基本です。
当院の「できる限り削らない・抜かない」という方針は、知覚過敏の治療にそのまま当てはまります。

治療法どんな処置か向いている状態保険通院回数の目安
薬剤塗布(しみ止め)象牙質の細い管をふさぐ薬を塗る軽度〜中等度のしみ適用1〜数回
コーティング・レジン充填樹脂で薄い膜をつくる、根元のえぐれを詰める根元がえぐれている、歯磨きで強くしみる適用1〜2回
フッ素塗布歯の表面を強くし、再石灰化を助ける予防を兼ねたケア症状・処置内容による(予防目的のみは自費)定期検診と併用
ナイトガード(マウスピース)就寝中の歯ぎしりから歯を守る歯ぎしり・食いしばりが原因適用型取りと調整で2回程度
歯周病治療・磨き方の指導歯ぐきの炎症を抑え、根元を守る歯ぐき下がりが原因適用状態による

薬剤塗布は歯磨き粉よりも効果が高く、薬剤の種類によっては塗ったその日から効果を感じられます。
コーティングも早めに効果が出ることが多いです。

ただし毎日の歯磨きで少しずつすり減るため、材料や磨き方によっては塗り直しが必要になります。
「一度塗れば終わり」ではなく、定期的に状態を見ていくものです。

歯ぎしりが原因なら、ナイトガードで歯にかかる負担を減らします。
日中の食いしばりや生活習慣の見直しもあわせて行います。
当院のマウスピースのページでも紹介しています。

医院によってはレーザー治療や歯ぐきの移植手術を選択肢に入れているところもあります。
実施の有無や費用、保険の扱いは受診先にご確認ください。

薬剤塗布やコーティングなど、保険診療の対象になる治療が中心です。
薬剤塗布を中心とした受診なら、3割負担で1回あたり数百円から数千円程度になることが多いです。
検査や装置の製作、処置の範囲で変わりますので、初診のときに費用も含めてご説明します。

神経を取る処置は最終手段|それでも治らないときの考え方

薬を塗ってもコーティングをしても、生活に支障が出るほどの痛みが続く場合には、ほかの病気がないか改めて確認したうえで、歯の神経を取る処置を検討することがあります。

ただし、あくまで最後の手段です。
神経を取る治療では歯を削る量が増えるため、残る歯の量や治療後の補強を考える必要があります。

痛みを感じにくくなるので、次に虫歯になったとき気づきにくいこともあります。
だからこそ、薬剤塗布、コーティング、原因の除去をきちんと試してから判断したいのです。

「薬を塗ったのに、またしみるようになった」という方もいます。
コーティングがすり減っていないか、歯ぎしりや強い歯磨きといった原因が残っていないかに加えて、虫歯やヒビなど別の原因が出ていないかも確認します。

再発したときは、処置を繰り返す前に原因に立ち返る。ここが治療のポイントです。

自宅でできる知覚過敏のセルフケアと再発を防ぐ習慣

知覚過敏用歯磨き粉の選び方と効果が出るまでの期間

市販の知覚過敏用歯磨き粉は、成分で選んでください。

  • 硝酸カリウム。神経の興奮を抑えて、痛みが伝わりにくくします
  • 乳酸アルミニウム。象牙質の細い管の入り口をふさぎ、痛みの入口を閉じます
  • フッ素。歯の再石灰化を助けます
  • 研磨剤が少なめ、または無配合のもの

硝酸カリウム入りの歯磨き粉は、続けて使うことで症状の改善が確かめられています。
ただし効果が出るまでの期間には個人差があり、数週間は続けて様子を見てください。

磨いたあとのすすぎは少なめにして、成分を歯に残すのがコツです。
やめると症状が戻ることがあるので、良くなっても続けてください。

歯周病や歯ぎしりが原因の場合は歯磨き粉だけでは効きにくいので、数週間使っても変わらなければ歯科で原因を調べましょう。

歯ぐきを守る磨き方と酸性飲食物との付き合い方

治療をしても、磨き方が変わらなければまた歯ぐきは下がります。
再発を防ぐ本命は、毎日の磨き方です。

歯ブラシは柔らかめを選び、鉛筆を持つように軽く握ります。
力を抜いて、小さく小刻みに動かす。根元の汚れは丁寧に落としますが、ゴシゴシこする必要はありません。
「しみるから磨かない」は逆効果で、根元に汚れがたまると知覚過敏はむしろ悪化します。

酸性の飲食物は、付き合い方を変えるだけで十分です。

だらだら飲まない。飲んだら水で口をゆすぐ。
酸っぱいものを口にした直後は歯の表面が弱くなっているので、すぐにゴシゴシ磨かず、まず水でゆすいでから時間を置いて磨く。
この3つで、歯への負担はかなり減ります。

そして定期検診で、歯ぐきの状態とコーティングのすり減り具合を一緒に見ていく。
それが、知覚過敏と長く付き合わないための一番の近道だと思っています。

よくある質問(FAQ)

Q: 知覚過敏と虫歯は自分で見分けられますか?

痛みが一瞬で消え、歯に穴や黒ずみがなければ知覚過敏の可能性が高いです。
ただ、進んだ虫歯や歯のヒビでも同じようにしみるため、自分で確実に見分けるのは難しいです。
迷ったら診せてください。

Q: 知覚過敏の治療は痛いですか?歯を削りますか?

薬剤塗布やコーティングは歯を削らず、痛みもほとんどありません。
根元のえぐれを詰める場合も、削る量は最小限です。
神経を取る処置は、他の方法を試したうえでの最終手段です。

Q: 治療費はいくらくらいですか?保険はききますか?

薬剤塗布、コーティング、レジン充填、ナイトガードは保険診療の対象になります。
薬剤塗布を中心とした受診なら、3割負担で1回あたり数百円から数千円程度になることが多いです。
適用の条件や費用は診断と処置内容で変わりますので、初診のときにご説明します。

Q: 知覚過敏用の歯磨き粉はどれくらい使えば効きますか?

硝酸カリウムや乳酸アルミニウムが入ったものを、数週間は続けてみてください。
すすぎは少なめに。改善しなければ、歯周病や歯ぎしりが隠れていないか歯科で調べましょう。

Q: 熱いものもしみるようになりました。大丈夫ですか?

温かいものでしみる、痛みが1分以上続く、何もしなくても痛い。
この3つは神経の炎症や虫歯の進行が疑われるサインです。様子を見ずに早めに受診してください。

まとめ

知覚過敏は、歯の内側の象牙質がむき出しになって起こる一過性の痛みです。
原因は、歯ぐき下がり、歯ぎしり、酸性の飲食物、強すぎる歯磨きなど、身近な習慣の中にあります。

2〜4週間たっても改善しない、痛みが続く、温かいものでもしみるという場合は受診してください。
歯科では、薬剤塗布やコーティングといった削らない治療から順に進め、神経を取るのはあくまで最後の手段です。

ひきしょう歯科クリニックは、「気軽・安心・安全」をモットーに、しみ方を確認して原因をご説明し、納得いただいてから治療を進めています。
初芝駅から徒歩3分、平日・土曜は20時まで、日曜・祝日も診療しています。

「しみるだけなんですけど」で大丈夫です。どうぞ気軽にご相談ください。